- 日本酒製造の新規参入解禁──伝統とイノベーションのはざまで揺れる業界構造2025年5月、日本政府は日本酒製造の新規免許発行を国内向けにも一部解禁する方針を示しました。(読売新聞 2025年5月27日朝刊) これまで原則として新規参入が認められていなかった「国内市場向けの酒
- 第7回:信用格付とは「技術と情報を守る力」の証明であるはじめに 本シリーズでは、企業活動と国家安全保障の接点にある経済安全保障と安全保障貿易管理の全体像と実務対応を解説してきました。 そして、私たち中村格付研究所は確信を持ってこう言います: これからの「
- 第6回:信用と安全保障が交差する時代に、企業が取るべき9つの対応策はじめに 経済安全保障や安全保障貿易管理の制度理解は、もはや一部の法務・輸出担当者だけの問題ではなく、企業の信用と存続を左右する経営課題です。 本稿では、中村格付研究所がこれまでの調査・支援実績に基づ
- 第5回:国家リスクを超えて考える「支配構造」の見抜き方はじめに これまで、安全保障貿易管理や経済安全保障推進法といった「制度」を中心に実務対応を整理してきましたが、ここからはより“実践的な視点”に踏み込みます。第5回のテーマは、国際取引における「見えない
- 第4回:経済安全保障推進法を実務で読み解くはじめに これまで「安全保障貿易管理」を中心に制度と実務を解説してきましたが、企業を取り巻く安全保障の枠組みは今や「経済安全保障」へと拡大しています。第4回では、2022年に施行された「経済安全保障推
- 第3回:信用調査とコンプライアンススクリーニングの活用「知らなかった」では済まされない時代へ 近年、安全保障貿易管理や経済安全保障の実務において、取引先の信用調査やスクリーニング体制の整備は、避けて通れないリスク対策となっています。 このような事例は決し
- 第2回:該非判定の実務と記録体制の整備「これは輸出しても大丈夫か?」に明確な根拠を 該非判定とは、自社製品・技術が日本の輸出管理規制(輸出令別表第1)に「該当するか否か」を判断するプロセスです。このプロセスは、企業が自らの責任で行う法的義
- 第1回:企業を守る安全保障貿易管理の基本構造はじめに 近年、企業活動と国家の安全保障が密接に関わるようになってきました。とりわけ製造業や技術開発を行う企業にとって、「安全保障貿易管理」はもはや一部大手企業だけの課題ではなく、すべての事業者が押さ
- 「信用調査に応じるな」は本当に正解か?—帝国データバンクを誤解してはいけない理由最近、ある税理士がやっているYoutube動画で「帝国データバンク(TDB)から会社情報の提供を求められても応じるな」と主張するものを目にしました。その論旨は、「情報を出すと不利益になるかもしれない」
- “見えない支配者”を見抜く力経済安全保障・安全保障貿易管理におけるUBO/グループ構造レポートの重要性 はじめに 近年、日本企業を取り巻く国際環境は急速に変化しています。米中対立、先端技術の輸出管理強化、そして経済安全保障推進法
- ホタテ輸出「脱中国」の動き加速、東南アジア経由で米国へ――信用管理の視点から考える中国による日本産水産物の輸入停止を受け、ホタテなどの水産物輸出は新たな展開を迎えています。読売新聞(2025年5月9日朝刊)によると、日本政府や業界団体は中国依存からの脱却を目指し、東南アジア諸国を経
- 中国保険会社の経営危機と金融システムの脆弱性――2025年春、中国金融市場の深層を読む 2025年春、中国の保険業界が重大な経営危機に直面しています。特に「万能保険(ユニバーサルライフ保険)」を中心とした高利回り商品と、そのリスク管理の甘さが露
- 中国企業調査の重要性が高まっている理由~中村格付研究所が提供する、現地密着・実態重視の調査サービス~ グローバルなサプライチェーンの中核としての存在感を増してきた中国企業。しかしその一方で、中国国内の経済構造の変化、米中貿易摩擦、政府によ
- アメリカ企業の特定が難しい理由:統一された企業番号がないという現実海外企業との取引や信用調査を行う際、日本企業が最初に直面する「壁」の一つが、対象企業の正確な特定です。特にアメリカ企業の場合、この問題はより深刻です。「社名で検索しても情報がバラバラ」「同じような名前
- 英国企業信用情報の先進性米国におけるクレジットビューロの草分けであるダン興信所は、日本でも良く知られています。しかし、実は英国では、1803年に興信所がすでに組成されていました。その機関が発展して、三大クレジットビューロの
- 中国のピアノ業界が崩壊した背景と対策業界特有の倒産傾向ー過度に決算書に依存するな 2023年後半、中国のピアノ業界に衝撃が走った。富裕層の所得減少により、ピアノの需要が急減し、半数近くの製造業者が倒産に追い込まれたのだ。この事例は、決算
- 3Mの事例に学ぶ与信判断の視点各メディアが一斉に報じたところによると、米国3M社が米国財務省外国資産管理局(略称OFAC)に対して、1000万ドルの制裁金支払に応じたそうである。OFACによると同社は、対イラン制裁に違反する可能
- 仕入先は確認しなくてOK?ついこの間まで「あけましておめでとう!」を繰り返していたかと思えば、もう間もなく節分。1月はあっという間に過ぎ去ってしまったと思っていたら、お客様から腰を抜かすような事例を教えてもらった。 株式を
- 倒産件数過去最多と、2番目に少ない倒産ニュースを申し上げます 興味深いニュースが飛び込んできた。私の故郷である秋田県での令和4年における企業倒産件数が、平成17年以降過去2番目に少ない38件に落ち着いたそうだ。負債総額も39.5億円に
- 異次元好景気からの転換か~米国小売業倒産~はじめに つい最近まで、停滞する日本経済と、高度なインフレを伴う異次元の成長軌道に乗る米国経済が比較され、「日本は終わりだ。シンガポールに移住しよう。」などという記事が、巷に溢れていた。ところが20
- 萎縮を避けて、カントリーリスクの適正管理を高まるカントリーリスク 世界の有力な格付機関や貿易保険会社が、2022年上半期のカントリーリスクを発表し始めています。「百聞は一見に如かず」とはよく言われるもので、さっそく2つの表を引用します。 表
- 【緊急提言】中国企業と取引するなら「決算書の取得」が必須ですリーガルリスクフリーの中国詳細決算書レポートは、info@nrating.jpまでお問合せ下さい。 大手企業の倒産が相次ぐ中国ビジネスの実情 私が継続的に参考にしているYouTubeチャンネルに「妙佛
- 倒産後の信用調査について倒産した会社を調査? 先日、取引先の審査担当者とディスカッションしていると、「中村さん、倒産してしまった会社だと、信用調査掛けても意味ないよね?」と問われた。確かに彼が指摘する通り、倒産してしまって
- 銀行出身者との衝突~粉飾決算~青森訛りの社長 台東区元浅草。青森訛りが残り、同じ東北出身の自分にとっては、心地の良いトーンで話す月田社長(仮)と初めて会ったのは、管理職に昇進する先輩から会員企業の放出によって引き継ぎを受けた時だ
- アメリカ企業信用調査報告書の読み方④Tax Liens ~先取特権(税) 前回③で説明したUCCファイリングに加えて、Tax Liens(税に関連する先取特権)も当該企業の資金繰りを類推させる非常に重要な情報である。UCCファイリング
- アメリカ 企業信用調査報告書の読み方③株主情報・資本金について 日本企業の経営安定性分析(与信判断)を行う際、その会社に投入されている資金、すなわち資本金の規模と、誰がそれを拠出しているのか(株主)の情報は、それら株主の事業に対するコミ
- アメリカ 企業信用調査報告書の読み方②スコアの根拠 今となっては米国に限らずという状況になったが、米国企業信用調査報告書は支払履歴を基準とした信用評価(スコア)の代表格と言える。この背景にあるクレジットビューロ(Commercial C
- アメリカ 企業信用調査報告書の読み方①クレーム製造機 海外企業信用調査の業界に従事して20余年。 「海外企業調査なんて、内容が薄くて意味がない!」 「なんかデータばっかりで、全然文章がない。やっと文章だと思ったら、スコアについての説
- 生保代理店ー自主的格付の意義業界団体による企業審査機能 2021年9月24日読売新聞朝刊に、「生保代理店に評価制」という記事が掲載された。 それによると、国内生保40社以上で作る生命保険協会が、2022年4月までに保険商品を
- UBO~究極受益者特定への布石~歴史的進歩 とうとう重い腰が上がったか。9月17日の官報公告に、法務大臣上川陽子氏の名前で「商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則」(以下規則)が公示された。FATFによる第四次
- 中国・反外国制裁法の整理コンプライアンス 安全保障貿易という単語がいつの間にか発展し、経済安全保障というタームがメディアを賑わせるようになった。日本の上場企業に対して、被制裁の中国企業が資本を入れるといった問題(?事実?)
- 対中国企業与信管理の失敗越前商人の雄 福井県福井市。 海外企業の信用調査報告書を販売する英国系調査会社に勤務した頃には、日本全国新規顧客の開拓に回った。新幹線もまだ開通していない当時、北陸地方はまだ行った事がなかった土地
- 国内企業信用調査~社会に資するビューロに~信用調査の起源 日本における企業信用調査の歴史は長い。業界大手の2社は、何れも業歴100余年を誇り、最大手の帝国データバンクにおいては、渋沢栄一がその創業に関係する事で注目されるなど、まさしく伝統産
- 事業承継難~秋田屋の事例~銘木の郷 私の故郷である秋田県は、全国でも数多くある銘木と呼ばれる木材のうち、「秋田杉」の産地として知られ、その美しい木目は和室の内装材として抜群の人気を誇っていた。関東に多い杉は、戦中に焼失した木
- 香港・メインチャイナとの送入金香港とメインチャイナ企業の関係性 最近、企業の審査担当者からの中国メインチャイナ及び香港に関連した問い合わせが増加している。従来から多かったのは、海外送金、入金の窓口となっている香港のペーパーカン
- 決済詐欺 ~裏書譲渡手形の罠~至急の調査命令 場所は江戸川区平井。駅前の商店街を抜けた先に、今回の調査対象である「田村工務店(仮名)」の住所があった。依頼者からは「至急対応を」との指示付きだ。 発端は、田村工務店が振り出した手形が
- 中小企業の経営ビジョン~俺のISO~おごり若造と頑固職人 葛飾区水元。 都心から金町まで電車に揺られ、さらにバスで30分程度の移動。それだけで、半日以上の時間を取られる、魔の調査活動非効率区域だ。 どんなに遠方であっても、人々が生
- 詐欺~怪しい先からの引き際~お付き合い 企業調査の仕事はとても遣り甲斐があり、今に至るまでの人生においても様々な局面でその経験が役立ってきた。他方、営業職としてのノルマも厳しく、実需があまりない商品を、関係づくりによるお付き合
- 中国企業信用調査について(2021年7月現在)ままならないデカップリング あれからもう10年も経つだろうか?チャイナプラスワンという文句が経済紙面を賑わせ、中国とのビジネスはハイリスクだとさえうたっていれば、企業信用調査の依頼者達にもてはやされ
- 懇意企業の倒産と無力感初めての同い年社長 秋葉原も徒歩圏内。岩本町の界隈に「統合」と名乗るその会社はあった。新設間もない「統合」の社長は、高田智之(仮)。電話口の対応も丁寧で、好印象を持たせる口調から、久しぶりに調査に行く
- 僕は信じてるんだ!~マルチ商法~え?なにここ。 東京都墨田区。閉鎖登記を購入して、社名変更により息を吹き返すように創業されたその会社の事業目的は、健康食品の販売業であった。「生活向上」(仮)の社名からも、顧客の健康を思うような温かさ
- 怖い人~反社との対峙~下調べ 「先輩、倒産歴がある社長の新規調査に当たったんですけど、その時の会社、先輩が担当だったみないなんですが。」 港区六本木。かつて悪の巣窟と呼ばれた事もあるそのビルには、設立間もない経営コンサル兼
- 余談① ネクタイは一択信用調査会社の調査員の間では、気を付けるべき街というのがいくつかある。西新宿界隈や百人町界隈、その他色々と点在しているが、私にとって新宿御苑前も同じにおいを感じるエリアだった。(まったくもって主観です
- 初めての管財人パチンコ業界の経営悪化 前の記事でも触れたように、パチンコホールを中心とした業界は、人間の射幸心と「遊び」への欲求、そしてそこから生まれる巨額の売上に支えられ、不況とは無縁の世界のように思われていまし
- パチンコホールパチンコは好きですか? 新人調査員に対して割り当てが多い業界の一つに、パチンコ業界がある。大学生の頃、バイト先の賄いが唯一の食事であったくらい貧乏学生だった私は、親からの仕送りで学生生活を謳歌する友人
- 初めての企業信用調査配属 新卒で信用調査会社に入社した当初は、英語ができるという事で海外関連の部署に配属された。20余年に亘り経済成長を続けるインドの再興がちょうど始まった時代。そのインドに出張させてもらったり、それは充
- 企業信用調査での経験企業信用調査 「与信管理」に付随する単語として聞かれる企業信用調査について、みなさんはどんなイメージをもっているでしょうか。帝国データバンク?東京商工リサーチ?粒ぞろいの東京経済? 私が尊敬する「