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第2回:該非判定の実務と記録体制の整備

「これは輸出しても大丈夫か?」に明確な根拠を

該非判定とは、自社製品・技術が日本の輸出管理規制(輸出令別表第1)に「該当するか否か」を判断するプロセスです。このプロセスは、企業が自らの責任で行う法的義務であり、「該非判定書」の作成と保存が求められます。


該非判定の基本プロセス(3ステップ)

  1. 仕様の把握
    • カタログ、設計図、材料構成、部品リスト(BOM)などを用いて、製品や技術の詳細を確認します。
  2. 輸出令別表第1との照合
    • 性能や機能がリストに記載された基準を満たすかを比較検討します。たとえば、センサーの検出感度、ソフトウェアの暗号強度などが該当例です。
  3. 判定結果の記録化(該非判定書)
    • 判定結果に加え、判定日・製品名・判断理由・担当者名・確認者名などを記載した文書を作成し、社内保管します。

該非判定書に記載すべき主要項目

  • 判定日
  • 製品・技術の名称・型番
  • 該当 or 非該当(項番号を明記)
  • 判断理由と具体的な根拠
  • 担当者・確認者・承認者の署名(または電子署名)

なぜ全社的な確認体制が必要か?

担当者一人に判断を任せる体制では、誤判定や内部不正のリスクが否めません。中村格付研究所では、以下の体制を推奨しています:

  • 技術部門がドラフトを作成
  • コンプライアンス部門が確認
  • 経営層(役員レベル)が承認

これにより、企業全体として輸出の意思決定を行ったという証跡を残すことができます。


保存義務と裁判対応

該非判定書を含む輸出管理文書は、最低5年間の保存義務があります。

これは、後日万が一トラブルが発生した際、企業が「正当な判断を行った証拠」として機能するためです。


結びに

該非判定は、安全保障貿易管理の“最前線”でありながら、最も誤解されやすい業務でもあります。「うちは関係ない」と思っていた企業が、実は対象製品を輸出していたという例も珍しくありません。

正確な判定と記録の積み重ねこそが、企業の信頼と取引の継続性を守る要となるのです。

次回は、取引相手の信用調査とスクリーニングの重要性について解説します。

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